エスディオから王都へと移動する、その途中。

「おかえり、アーシェ!」

「レオ兄様! ただいま!」

 アーシェリアスは推しの兄、レオナルドの腕に抱かれ感極まっていた。

(久しぶりに会うレオの笑顔と温もりが尊過ぎる……!)

 旅に出た日、家族とは何ヶ月も会えなくなることを覚悟して別れた。

 万が一にでも命を落とせば、二度と会えなかったかもしれない。

 その相手に、こうして無事に再会できたことを、アーシェリアスは心から喜ぶ。

「シーゾーも、おかえり」

「モフ!」

 レオナルドは、アーシェリアスの背中に回していた右手で、シーゾーの頭を優しく撫でる。

「兄様、元気だった? 父様も屋敷に?」

 尋ねながら身体を少し離して兄を見上げる。

 レオナルドは、儚げで美しい顔に微笑みを浮かべた。

「ああ、元気だよ。父上は仕事で自警団のところへ行ってるんだ。俺は領の倉庫に備蓄している食料の確認をして、休憩で戻ってきたところだよ」

「お疲れ様です。タイミングが良かったのね」

 父オスカーも相変わらず忙しそうだが、レオナルドの明るい表情からして元気なのだろう。

 マレーアの入り口から屋敷までの道中、領民たちも穏やかな笑顔を見せていた。

 街が平穏なのは領主と領民の関係が良好である証拠だ。