ケータイ小説 野いちご

やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 三浦部長と映画を観てから数日経った。

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 これはなるべく離れていたほうがいいよね。

 私こと大野まゆか(おおの・まゆか)は会社のデスクで電話をしている人物を見ながらそう思った。

 ダークスーツを着た一八〇センチの大きな身体だとごく平均的な事務椅子では窮屈に思える。長めの黒髪は一昔前に流行ったドラマの主人公を連想させた。

 切れ長の目は書類を睨んでいる。

 不機嫌そうにへの字に曲げて彼は受話器を片手に話を聞いていた。
 

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