【真実】とは、げに(てい)のいい言葉だ。
 物事には表と裏が必ず存在する。それを避けて通ることは出来ない。言うなれば覆りようのない【事実】である。しかしながら、表しか知らずとも、これを【真実】だと思えば、【真実】なのだと信じてしまえば、裏がどうであれ、それはその人間にとっての、まごうことなき【真実】。表と裏が揃って始めてひとつの事柄となるたったひとつしか存在しない【事実】とは違い、表だけだろうが裏だけだろうが、そうだと思えば、思う人間がいたならば、それはもう【真実】となるのだから。