第3話




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「失礼します。」


“ガチャリ”


ここに入るのはいつ振りか思い出せないほど、他とは一線を画する椿 刑事部長のお部屋へと入る。


「思ったより早かったですね。」


「いえ、お待たせして申し訳ございません。」


「どうぞお掛けになってください。」


相変わらずこの人はいつお見かけしても背筋がピンと張っていて・・

何より、発する温かい言葉とは裏腹に表情はいつも不気味な程冷たく感じる・・。


「まずは遅くなりましたが、

先々月の[全国剣舞会 刃引き真剣の部]3連覇おめでとうございます。」


「ありがとうございます。」


「今の若者風に言うと“フリースタイル”ですか。

カチコチな動きと奇声しか発せられない“剣道”と違って、

君は全国の警察官の中で最も剣術に長けている男となりますね。」


「・・・・・・・・・・。」


「“天然理心流”でしたか?」


「はい。新撰組が好きな父の影響で、
小さい頃から学びました。」


「近藤勇や土方歳三もビックリでしょうね。」


「・・・・・・・・・・・・・。」


「・・“さっさと用件を言え”という顔をしていますね。」


「申し訳ございません。聞き込みがまだ終わっていなかったので・・。」