『私…晶兄が……すきなの』

『……ごめん。結婚するんだ』

『そっか……こっちこそ、突然、ごめん。晶兄に彼女いたんだ…あははは……えっと…お幸せに』

『ありがとう』

晶兄が切な気に笑い、そこで視界が変わった。

顔がぼやけたウエディングドレス姿の花嫁の腰を抱きしめ微笑む晶兄は、彼女の顎に指を添えて顔を近づけていく。

見たくない…

その瞬間、パチっと目が覚め、ぼやける見慣れた天井が視界に入た瞬間、目尻から涙が流れていた。

あー夢か…
久しぶりに見てしまった。

もう、3年も前の出来事なのに、今だ、立ち直れていないらしい。

告白した日を今だに鮮明に思い出せるなんて…
それに…晶兄が結婚した夢なんて…最悪。

よりによって、なぜ今朝なのだろう?

枕元に置いておいたスマホの目覚ましの音に、キーンと耳が痛くなる。

そして、朝早くから下の階で大きな声で私を呼ぶ母の声に苛立ち、乱暴に返事を返した。

「起きてるよ」

涙を拭い、両手で頬を軽く2回叩いて気合いを入れて起き上がり、壁にかけてある淡いラベンダーカラーのドレスを見つめた。

首周りがレースでデザインされた大人っぽい膝丈のドレスは、背伸びして買った物だ。

その目的は、兄の結婚式に出る為。