如月 向日葵 (きさらぎ ひまわり) 17歳。高校3年生。
4月8日、最悪な日となりました…


「わぁぁぁーん!みんなぁ!」


「あらら…見事に向日葵だけクラス離れちゃったね。」

この子は友達の田中 紅葉(たなか もみじ)。
控えめな性格だけど、めっちゃ優しい女の子。

「笑ってる場合じゃないってぇ…マジでどーしよ。あたし、明日から生きていけない…」

「何を大袈裟な。て、いうかー。あんたの好きな陣君とおんなじクラスじゃん!」

「ちょ、ちょっと!声でかい!桜!もー…椿助けて!」

「自分でどーにかしたら。てか向日葵あんた、うるさい。みんなこっち見てるよ。」

椿の言葉で我にかえった私は、慌てて桜の口を塞いでいた手をはなす。

桜、というのは仲良しの瀬川 桜(せがわ さくら)。超美人で、めっちゃもてる。

もう一人の仲良し、赤井 椿(あかい つばき)はクールでオシャレ。みんなのお姉さん的存在。


私たち四人は超仲良しグループ。名前も四季の花と同じ名前で、まさに運命の出会い、ってやつ?

でも、クラス替えが最悪。私だけ3人と離れちゃった…

今までずっと三人でいたから、他にめっちゃ仲良しの人とかいないんだよなぁ…

友達作るなら明るい子がいいな、なんて思ってると、桜に声をかけられた。

「でもよかったね、陣くんと一緒で。今まで同じクラスなれなかったもんね。今年は向日葵もリア充仲間入りだね!」

「いやいや、まず向こうが私のこと知ってるかもわからないし…付き合うことなんて…」

そう、陣くんこと、野中 陣(のなか じん)くんは、私の好きな人。この二年間、一度も同じクラスになれなかった。

陣くんは、バスケ部のエース。身長高くてイケメンで、なんでもできて、しかも面白くて優しい!なんといっても一番は、声がかっこいい!イケボのなかのイケボって感じ?    


でもやっぱりめちゃくちゃ持てるし、バレンタインの日なんて大荷物。こっそり靴箱のなかにチョコレート入れたことあるんだけど、気づいてないかなぁ…


「顔赤くなってるよ、向日葵。」
と、紅葉。


ひとりで陣くんのこと考えてて…超恥ずかしい!




キーンコーンカーンコーン


「あ、やばっ!遅れるっ!?」


急ぎすぎてズデーン、と思いきりこけた私を見て、桜は大爆笑。


「いっててて…さくらぁ!ひどい!こけた私を見て笑うとか、心配のかけらもないわけ…って血出てるし!てか急がなきゃやば…あぁっ!みんなぁ!おいてかないでぇ!待ってぇぇぇぇぇ!」




このクラス替えが思いもよらない方向へ進んでいくなんて、誰も想像してなかった。