── こういう時の私は、本当に弱かった。 自分に酔っていると、ろくなことがない。 体育は私の成績で唯一「4」のつく苦手今教科。 今、ほんの数メートル先に黒いフードを被った鬼が現れて、腰を抜かしている私は、本当に本当に馬鹿なのだ。 地面に腰を落としたら、鬼はこちらに向かってきた。叫び逃げ回る生徒。 それもそのはず。 鬼の手には、窓の外の夕焼けを反射する銀色の、鋭いナイフが握られているのだ。