あれから、私は変だった。
家に帰ってもドキドキしていて、いつもは湊君でいっぱいだった頭にも佐野先輩が浮かんできて。
もしかしたら……ううん、そんなはずない!
考えては消え、考えては消えを繰り返していた。
でも、認めたくないから。
だからこそ、私は気づくことができなかったんだろうな……
「ふゆ、おはよう!」
「おはよう、紗奈ちゃん」
いつも元気いっぱいな紗奈ちゃんに癒やされる。
「昨日のデート、楽しかった?」
うっ……できればその質問はしないでほしかった。
でも、そう言うわけにもいかず、笑って答えた。
「うん、楽しかったよ!」
「へー、佐野先輩エスコートうまかったのね」
不意に出たその名前にドキリとした。
ドキドキと胸が高鳴っていき、頭に浮かんでくる。
うー、最悪……
ブンブン頭を急に振った私を、紗奈ちゃんは訝しげな表情で見ていた。
気づいたのかもしれない。
「ねぇ、ふゆ。もしかして……」
紗奈ちゃんが何を聞きたいのか分かった。
それ以上は聞かないでほしい……
そんな状況の中、さっき頭に浮かんだ人が現れた。