今朝、大学でナイフを振り回した男の一件から始まり、そのままシオンに拉致。

時間なんて見ている余裕もなく
逃げ出せのは、同日の午後の話。

そして今。
監禁されていた場所からは距離もあったせいか
家に到着する頃には日が暮れていた。

「アンタが逃げた事で俺がボコしたヤツらは
 今頃、必死になってんだろうな。
 ここにもすぐ来るだろうし」

「そう考えると落ち着かない…」

『自分の家なのに』と落ち込むカトレアを
見つめる柊。

「安心しろ。
 今晩は俺が外を見張ってる。
 アンタは余計な事を考えずに休め」

「ありがとうございます。
 じゃぁ…そうさせて貰いますね」

柊の好意に甘えカトレアは早々とベッドに入ると
余程疲れていたのか
すぐに眠りに就いた。

しかしまた
悪夢が彼女を襲う。

内容は先程までとは大きく変わり
今度は“誰かの声”から始まったーーー


『ここに来ては、ならん!』

夢の中のその場所は
たくさんに本に囲まれた見覚えのある部屋。

聞こえた拒絶の言葉は
カトレアもよく知っている人物。