翌朝。
さっそくというのか
(柊曰く)男との接近戦に備えて
変装の下にしっかり装備品を身につけていた。

「戦うワケじゃないんですよ…?」

「わかんねーだろ。
 何かあってからじゃ遅い。
 ()られる前に()ってやるよ」

(大学で拳銃なんて出されたらどうしよ…)

メラメラと闘志を燃やす柊とは裏腹に
血が流れる事だけは避けたいと
カトレアは切に願いながら学校に到着。

「それで?
 男について他に情報は?」

「何もないです」

真剣に聞かれて
キッパリ言い切ってみたはいいが。

「ないのにどうやって捜し出すんだ!?」

怒られてしまった。

それもそのはず。
・男性
・生徒
以外にわかっている事がないのだから。

「おいおいおい…
 まさか虱潰(しらみつぶ)しに捜すとか言うんじゃねーだろうな」

「それ以外の方法が他に?」

真顔で答えるカトレアに
頭を抱えたのは言うまでもない。

警察(おうえん)を呼ぶワケにもいかねぇし…
 仕方ねーか。
 今日はお嬢さん
 出来る限り俺から離れんな」

「う、うん」

呆れながらも自然と出る言葉に
ドキドキするなとは無理な話。