意識の水面下という、微温湯のような心地の良い中で。

真っ昼間からでも、あなたとの甘い夢をずっと見ていたい。



…そう願って、今日も夢を見る。

昼間なのに、眠ってなんかいないのに。

貴女との、夢を。








気が付けば、太陽は晴天の真上にあった。



暦は五月に突入したこの時期の晴天の日差しは、少しばかりジリジリとしている。

昔ーーー大石明生という人間は、白肌ゆえにあんなに日焼けで痛い思いをして、太陽の下を避けていたのに、魔族の力を体内に取り込んだ状態となっては全然平気となっていた。

魔族になると、空腹もない。睡眠欲もない。

けど、そんなものは昔から必要としていない。そんなものよりも、もっと欲していたものを手に入れたのだから。



だが、一人になると、眠ってなんかいないのに、まるで眠っているかのように夢を見る。




それは決まって、唯一愛おしく思えた、彼女の夢。

失ってしまった…彼女の夢だ。




《こんな世界、一緒に壊して消そう?》




そう言われて、差し伸べられた手を取った、あの日のことを。