「はいりますよー。って、おにいさん! よかった、目覚めたんだ」

「あ、あなたは!? ~~~~っぅ!?」

「だめだめ! そんなに激しく動いちゃ。これ、どうぞ。二日酔いに効くから」

 いわれるまま、少女に差し出された液体を口にする。それはちょうどいいくらいに温く、ほんのりと甘い。飲み切ると、少し気持ちが落ち着く心地がした。

 それを待っていたのだろう。少女が、今の状況を説明してくれた。

「私、フィアナっていいます。で、ここは私の家。両親がやっている『グレダの酒場』の二階です。おにいさん、うちの店の前に倒れていたんですよ。話しかけても全然起きないし、ダメそうだったんで、二階に運んで泊まってもらっちゃいました」

「そ、それは、何とお礼をしたらいいか……」

 すっかり恐縮しきって、エリアスは小さくなった。

 フィアナと言っただろうか。ハツラツとして、働き者な印象を与える面差しには、わずかに幼さも残る。まだ子供に毛が生えた程度の少女に、とんだ醜態をさらしてしまった。ここに穴があったら潜りたいほどだ。

「そ、そうだ!! せめて宿泊料として、金だけでも!」