【松原麗華side】
「麗華!具合はどう?」
年越しして数日。
私は入院していた。
原因は白血病の発作。
「やっほ。来てくれてありがとう、夕紀」
幼なじみにして大親友の木平夕紀。
同じ会社で働いてる頼れる友達だ。
「仕事任せっきりでごめんね。」
「気にしなくていいよ。秘書課舐めないで。」
夕紀は今の社長のお気に入りの秘書だ。
私も社長秘書として働いているけどそのうち専属が夕紀に変わるのではないか、と言うくらいお気に入りになっている。
「でも麗華が入院して困ってるのは総務課だよ。」
「なんで?」
「だって総務課長がいないんだよ?
副課長の先輩もかなり焦ってるみたい。」
…副課長、あ、あの先輩か。
お節介焼きの。
「私もできる限り総務課に負担かけないようにサポートしてるけどさ、ちょっと回らなくなってきちゃった。」
「…資料とかならここでもできるけど、どうだろ。」
「ダメ!麗華は今しっかり休まないといけないの!それが仕事、ね?」
夕紀の言葉に微笑んで視線をずらすと流華が病室の外にいるのが見えた。
少し微笑んで手招きするとニコニコ笑顔で入ってきた。
「お姉ちゃん、体どう?」
「うん、大丈夫だよ。いつも通りの入院。」
「なら良かった!将斗さんも心配してるんじゃない?」
「心配してくれてるよ。」
入院ってなった時に1番先に連絡くれたのは彼だから。
多分、とても大事にしてくれてる。
「その将斗さんは来ないの?」
「仕方ないでしょ。バイトやテストだってあるし、もうすぐ成人式だし。」
「あっ、そっか。」
色々忙しいのはわかってる。
だから追いLINEはしない。
色々あって疲れているだろうし、更に面倒くさいことさせたくない。
私だったら後回しにしちゃう、分かるもん。
「お姉ちゃん甘えること知らないよね…」
「確かに麗華は甘えることを知らない」
…甘え方を知らない、の方が合ってる気がするけど…
「ねえ麗華?」
「…?」
「麗華は立派だよ。誰よりも若くて1番出世が早かった。誇りを持っていいこと。
けど、辛いこと吐き出すことも大事なんだよ?
…全て受け入れて優しく抱きしめてくれるのが世の中のカップルだよ?」
…それも一理あるか…
でも…私は…
「甘えて…いいのかなあ」
将斗くんの荷物になりたくない。
なんとしてでも自分で解決しておかないと。
将斗くんに、頼りにされてもいいように。
「麗華…」
私が流華みたいに明るくて笑顔の絶えない子だったらどれだけ甘えられても嬉しいだろうけど…