あの日以来、私は春哉くんを避ける生活を続けていた。

 けれど、避ける生活がいつまでも続くはずがなく。


「志羽、いつまで寝ているの?」


 柔らかな声に引かれるようにして、ゆっくりと夢から覚める。

 ただ、眠気で頭がぼーっとし、状況の理解に遅れていた。


「ん……」
「志羽、今日は体育祭だよ」

「……うん、知ってる」

「知っているなら尚更起きようね。俺たちクラスの代表者はみんなより早く集合するんだよ」


 体育祭、クラスの代表者は早く集合……。

 柔らかな声で発せられる言葉を何度も頭の中で繰り返すけれど、なかなか理解に追いつかない。