怜也side



2学期に入り、体育祭が終わって一段落ついた9月下旬。

授業でわからなかったところを聞きに、昼休みに職員室に行った時のこと。



「上川くんは、あまり本は読まないの?」

「参考書は読みますよ!」

「うーん……何でもいいから、気になった本を読んでみたらどう?」



相談すると、現代文の先生に読書を勧められた。

実は、前回のテストで熟語がたくさん出てきたんだけど、ほとんど読めず平均点ギリギリだったのだ。

他はわりといい成績なのに、現代文だけ、特に熟語が苦手なんだよなぁ……。



「漫画でもいいですか?」

「もちろん! 教養系の漫画もあるし、楽しんで読めると思うよ」



へぇ、そういうのもあるんだ。早速探してみよう。

職員室を出て、そのまま図書室へ。

しかし……。



「ないんですか⁉」

「うん……ごめんね」



先生に聞いたところ、そういう系の本、というか、そもそも漫画自体がここに置かれていないのだそう。

たくさんあるから1冊くらいはあるかと思ったのに。



「上川くん!」



肩を落として教室へ戻っていると、向こう側から綿原さんが駆け寄ってきた。



「綿原さん、どうしたの?」

「なんか元気なさそうに見えて……大丈夫?」



えっ、元気なさそうだったから話しかけたの⁉
俺そんなにわかりやすく落ち込んでた⁉



「大丈夫。ちょっと考え事してただけ」



そういや、綿原さん知識豊富だったよな。
もしかしたら、そういう本知ってるかな?