ケータイ小説 野いちご

恋をしたのは

高校一年生
冬、君との距離

 期末テストの前の週は早帰りとなる。

「海音ちゃん、今帰り?」
「アオイくんも?」

 昇降口で一緒になったアオイくんと途中まで一緒に帰る。

「期末テスト、大丈夫そう?」

 その質問には、いつも通り引きつり笑い。
 アオイくんにはそれで全てお見通し、いつものことって思われてるかも。

「数学?」
「……ですね」

 中学校の時は上位だったからと言って進学校であるここでも上位だとはならない現実。
 例えばアオイくんみたいな自分よりも頭のいい人がいっぱいいるのだ。
 私だって数学さえなければそこそこ上位に食い込めるのにな、数学さえなければ!!
 中間テストの時もアオイくんに教えてもらえて何とか70点台だった。

「また今回もやろっか、一緒に」
「いつもアオイくんに迷惑かけてるし、もうそろそろ自分でどうにかしないと」

 毎度のことで申し訳ない、と首を振った私に。

「海音ちゃんに迷惑なんて一度も思ったことないよ」

 アオイくん、その笑顔に何度も救われてます! もうそれだけで十分です!!

「だったらさ、今回はオレにお返しちょうだい」
「お返し?」
「そ、数学教える代わりに、海音ちゃんのクリスマス一日オレにくれない?」

 ……私のクリスマスをアオイくんに?
 意味を飲み込めずアオイくんを見上げたら。

「クリスマス付き合って欲しいな、と」
「どこに?!」
「どこでもいいよ、海音ちゃんとデートならどこでも楽しそう」
「デートなの?!」
「え?! クリスマスに二人で出掛けたらデートにならない?」

 クリスマスに男の子と二人で出掛ける、あ、そっか。

「……なる、かも。なる、ね」

 なるほど! と考えてたら、アオイくんはずっと笑い堪えてる。

「周も誘う?」
「誘いません~! クリスマスくらいは海音ちゃん独占させて貰います、それがオレへのご褒美、お返し、ね」

 そう言われてしまうと頷くしかないけど、実はちょっと楽しいかもって思ってる。
 クリスマスを家族以外と過ごしたこともないし、それがアオイくんなら楽しいに決まってる。

「んじゃ、土曜日ね、お昼からにする?」
「今回もよろしくお願いします!」

 お世話になります、と深々と頭を下げた。

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