5分後。



「はぁっ……あの月オタク野郎……」



全速力で追いかけたものの、見失ってしまった。

ったく、相変わらず逃げ足が速いやつめ。
あぁ、どうか仲間じゃありませんように。



「詩恩! おはよう!」

「……おはよう」



昇降口の近くで息を切らしていると、前方から明莉が手を振って走ってきた。



「なんでそんな息切れしてるの?」

「いや、別に……ちょっと走っただけ」

「朝から運動? 健康的だね~!」



呑気に笑っている彼女を見る。


今日も手の込んだ巻き髪か。
一応校則で禁止されてるのに。

巻いてる生徒が多くて、もう先生達諦めてるんだろうな。


……そういや、明莉は乙女座だったっけ。

健みたいに生粋の双子座ならぬ、生粋の乙女座だったりするのかな。


んー……でも、ライオンみたいなガツガツ肉食系だから、獅子座に星があったりして。



「詩恩!」



想像を巡らせていると、健の姿を発見。
こちらに走ってきた。



「ごめん。返すよ」

「ん。俺も言いすぎた。ごめん」



……満足そうな顔をしている。
これはガッツリ調べたな。