残酷様が帰ってくれないのなら、帰ってくれる方法を探さないといけない。


あたしはすぐにスマホを手にした。


しかし、通信のすべてができないことを思い出して床に放り投げる。


次にタブレットを使う。


これも画面を変えることができない。


わかっていたことだった。


どれもこれも使えないと。


助けを呼ぼうとした時にわかっていたことだった。


それなのに、混乱してすがりつこうとしてしまう。


「落ちつけ紗弓。俺が本で調べてみるから」


唯一の生き残り、航大がそう言うと一旦画面から姿を消した。


それは時間にしてほんの数十秒のことだったと思う。


それでもあたしにとってはその時間が永遠のように長く感じられた。


画面の中に戻ってきた航大はハードカバーの分厚い本を持っていた。


背表紙には世界の七不思議と書かれている。


「そんな本に解決策が乗ってるの?」


「わからない。でも探さないとどうにもできないだろ」


航大は早口に言い、ページをめくり始める。


「この本には残酷様のことも載ってるんだ。読んだことがあるから知ってる」