自分で言うのもなんだけど、あたしはとても綺麗だ。


そこらへんの男に声をかければなんでも奢ってくれるし、友達の彼氏だって簡単にあたしになびいてくれる。


「ねぇ先生、大学の推薦枠なんだけど」


職員室から遠い渡り廊下で、あたしは進路担当の先生を2人きりだった。


進路相談の先生が男だとわかったときから、あたしはこの先生とこうして2人きりの時間を持つようになっていた。


中年の冴えない先生だったけれど、自分の将来のためならなんだってできた。


「あぁ、どうした?」


「あたしのために枠を用意してほしいの」


あたしはそう言い、先生の腕に自分の腕をからませた。


上目使いに先生を見上げてみると、その頬が赤く染まっているのが見える。


先生だって所詮は人間だ。


男となれば、その辺の生徒となにも変わりはない。


どれだけ理性を守っていてもあたしの前では崩壊する。


「それは、でも……」


もごもごと答えにくそうに言い、うつむく先生。


最初はみんなこうだ。


理性と男としての欲望が戦っている。


そんなことしても無駄なのにね。