「ねぇ、七瀬さんっ!!」



月曜日の朝、登校してすぐにいきなり声をかけられて、わたしの体はビクンと反応して固まる。


この声は金曜日にわたしに買い出しを頼んできた子。



「ちょっと無視しないでよ」



別に無視をしたわけではない。


あまりにも怒りに満ちた声でわたしを呼ぶから、怖くて顔を上げられなかっただけ。


唇を噛み締めながら恐る恐る顔を上げると、わたしを睨みつけるようにして立ちはだかっていた。


そんな視線のせいか、背中に寒気が走る。


きっと原因はあれだ。


今日学校に着いてからずっとジロジロとこっちを見られてた。


おまけに何かヒソヒソと話している声もした。



「土曜日、神風くんと一緒に歩いてたって本当なの?」



……やっぱり。


神風くんは気がついていたのかもしれない。


わたしは人手が欲しいということばかりにとらわれて、ちゃんと考えずに行動してしまったから。


人気者の神風くんと一緒に歩いていたらこうなることなんて容易に想像できたのに。


神風くんと買い物に行ったのは事実だし、確実に見られてしまっているのだから嘘をついたって仕方がない。


わたしはゆっくり縦に頷いた。


わたしの反応を見て、この世の終わりのような顔をするクラスメイトの女の子。


声をかけてきたこの子だけじゃない。


教室に居て、聞き耳を立てていた女の子たち全員だ。