「未来、教室1人で戻れる?」


その言葉に私が頷くと、会長は私とたこ焼きをその場に置き去りにして、婚約者と名乗った女の人と一緒に去っていった。



それが、文化祭の最後の思い出。

その後のことはあんまりよく憶えていない。


ぼんやりと教室に戻って、黒子のままひたすらにたこ焼きを焼いていた、と思う。



「…で、会長からの説明は?」


文化祭のあとのクラス打ち上げの席で、きょうちゃんが私に聞いた。


私はストローでソーダをかき回しながら、ふるふる首を横に振る。


賑やかなファミレスのすぐ隣の席からは、森川たち男子のアホな笑い声が聞こえていた。


「婚約者って…なにその少女漫画展開…」


きょうちゃんが額に手をあてて言う。


私はソーダを一口飲んで、小さく息を吐いてから口を開いた。