「…あんた、すごいね」


廊下に張りだされた期末試験の結果を見上げて、きょうちゃんが言った。


自分でも驚いてしまう。

中間試験から大幅に各教科の点数を上げた私の名前は、学年30位に記載されていた。


「今回は1人で勉強したんでしょ?」

私はこくりと頷く。


…必死だった。

ふと気を抜くと、すぐに思い出してまって。



濡れた会長の肩と、掴まれた手の熱と、触れた唇のこと。


できるだけ思い出さないように、とにかく勉強机に向かった。

分からない問題があっても、会長に連絡なんてできるはずもなく。


ただただ記憶をかき消すように。


当の会長はあの日以来、何事もなかったようにいつもどおりで。


混乱しているのは、私だけで。



…いちいち反応しちゃいけないんだ。