1年生に上がってすぐ、あたしは美弥と仲良くなった。


風邪をひいたせいで友人を作り損ねた美弥を見て、ちょっと気になったのがキッカケだ。


でも、まさか2年生に上がっても仲良くする関係になるとはこの時のあたしは考えてもいなかった。


どうせすぐに、他の友達ができる。


その程度の気持ちだった。


「今度○○ランドに行くんだ」


そんな声が聞こえてきたのは1人で漫画を読んでいた昼休み中のことだった。


美弥は反長の仕事で職員室に呼ばれていなかった。


やけに楽しそうな声に惹かれて振り向くと、そこには数人の男子たちの姿があっ

た。


その中で背が高く、ひときわ目立っているのは貴也だ。


貴也はモデル顔負けのルックスで、あたしは密かに心を惹かれていた。


その貴也が今週末の予定をみんなに話しているところだった。


「彼女とか?」


友人の1人が茶化すように聞く。


貴也は左右に首を振った。


「残念だけど、家族とだよ」


貴也にはまだ小学生の妹がいるらしいから、きっと妹のリクエストなのだろう。