学校へ行っても、マリナの元気はないままだった。


弘志君の浮気相手が学校へ来てから、マリナはずっとクラス内で陰口を言われている。


悪いのは弘志君なのに、そっちは全然平気そうな顔で、いつもの日常を送っているからあきれる。


でも、あたしはマリナのことを気にしている暇はなかった。


なんせ1年生のころから好きな貴也の彼女になれるかもしれないのだ。


このチャンスを逃すわけにはいかない。


「おはよう美弥」


貴也は教室に入るとすぐに声をかけてくれる。


「お、おはよう」


あたしはそれにぎこちなく返事をする。


今までこんなことはなかったから、どうしても緊張してしまうのだ。


「昨日は突然誘ってごめんね」


「ぜ、全然大丈夫だよ」


あたしは顔の前で手を振って答えた。


貴也とのデートなら、突然でもなんでも嬉しい。