「頼む! 早く助けてくれ!」


「頼む! 早く助けてくれ!」


繰り返される響のセリフに頭がどうにかなってしまいそうだった。


あたしはヨロヨロと灰色の袋に近づく。


時折グニャリと動いて中に何かがいることを示している。


でも、一体なにが入っているのかもはやわからなくなっていた。


「ひ、響なの? それならちゃんと返事をして?」


「頼む! 早く助けてくれ!」


あたしの問いかけに反応はない。


ただ同じ単語を繰り返すばかり。


だからこの教室から脱出しようとしたのに、まだ鍵はかけられたままで……。


あたしはゴクリと唾を飲み込んでロッカーへ視線を向けた。


ロッカーの前にはすでに死んでいる光平が倒れている。


まさか、鍵を探し出さなきゃ出られないなんてこと、ないよね?


考えながら汗が背中を流れていく。