俺がこの一般的な高校に入学できたのは、まさに奇跡だった。


まだ乳飲み子だった頃親に捨てられた俺は、施設で育った。


「おい光平! お前今日もトイレ掃除な!」


ある程度成長すると、施設の中では当番制で毎日の掃除、洗濯などがあった。


小学生に上がった頃、俺の名前もその当番に組み込まれるようになっていた。


でも、それを無視するやつは必ず出てきた。


「俺昨日もやったけど」


「なんだとお前、俺に文句があんのかよ!」


相手は高学年で、体格のいい子供だった。


まだ低学年だった俺が勝てる相手じゃない。


俺は片手で転がされ、踏みつけられ、殴られた。


「はは! 俺に逆らうからこうなるんだよ!」


まさに俺様なヤツだった。


なんでこんなヤツと一緒に暮らしていかなきゃならないんだと、本気で思っていた。