地上三十七階にあるラウンジには、床から天井まで広がる大きなガラス窓があり、そこからは東京の絶景はもちろん、今日のようにお天気がいい日は富士山まで見張らせる。

 アンティーク調のソファやテーブルが設置され、とてもシックな場所で私は高校時代からの親友、林(はやし)美香(みか)とアフタヌーンティーを楽しんでいた。

 美香とは同じ大学に進学した。大人っぽくて美人な子だ。
 卒業後はファンション雑誌の編集者の職に就き、先輩について今は必死に仕事を覚えているところらしい。

 見た目も美しいケーキやスコーン、サンドイッチ。それと珍しい紅茶も味わえるフリードリンクに、私と美香は舌鼓を打つ。

「夢みたい。ここのホテルのアフタヌーンティーってなかなか予約が取れないのに。これも全部、未来の旦那様のおかげだね」

 夢見心地の美香の言う通り、こうして予約が難しいホテルのラウンジでアフタヌーンティーができているのは、すべて弦さんのおかげ。

 お義父さんとお義母さんに、もっと弦さんにもワガママ言って甘えてもいいんだよと言われた。

 結婚後、働いている彼に申し訳なくて日中出かけたいとはなかなか言えなかったけれど、思い切ってお願いしてみた。
 今度、友達と出かけてきてもいいですか? と。