放課後、学生が集う街の一角にあるカラオケ店で、澪の笑い声がうるさく響く。
「あははっ!私のクラスも早速汐音の話題で持ちきりだよ!」
「笑いすぎだから……!」
澪も私もせっかくカラオケに来たというのに、歌わないまますでに30分が経過していた。
ソフトドリンクを飲んで喉を潤し、澪の笑いが収まるのを待つ。
朝、私の声は隣のクラスにも聞こえていたようで、瞬く間にあらぬ噂が広まってしまった。
私が霧谷に宣戦布告したとか、嫉妬心をぶつけたとか。このままでは私の印象が最悪になってしまう。
「ごめんごめん。だってまさか初日でやらかすとか思わないでしょ」
「私だって一切関わらないよう頑張ろうと思ってたけど向こうから……あー、私の高校生活終わった!2年もボッチ生活とか無理だよ澪、助けて」
「大丈夫。霧谷瑞樹は女関係もあまり良くないって聞くし、彼をよく思ってない女子も中にはいるでしょ」
勉強以外は悪を極めている霧谷って、一体何を目指しているのだろう。