コン、コン、コン、と、部屋の扉が3度ノックされた音が響く。
わたしとがっ君は扉の方に視線を向けて、訪問者の姿を瞳に映した。
「入るわよ」
…あ、この声は。
聞き覚えのある女性の声に、頬が緩む。
「きゃー!桜たん、久しぶりねー!」
彼女は部屋に入るなり、わたしの元へ駆け寄ってきた。
ぎゅーっと抱きしめられて、幸せな気持ちになる。
「がっ君ママ…!お久しぶりです…!」
綺麗に靡く漆黒の長髪が、わたしの頬に当たってくすぐったい。
がっ君ママはわたしを抱きしめる腕を解いて、今度はわたしの両頬に手を添えた。
がっ君と同じ、真っ赤な瞳には見つめられて、ちょっぴり恥ずかしくなる。