『ーーーー次は、1-Sクラスによる、白雪姫です』



アナウンスの声が響いて、舞台の幕が上げられる。

わたしは、気づかれないように一度だけ深呼吸をして、一歩足を踏み出した。



『あるところに、美しいお姫様がいました。彼女は、白雪姫と呼ばれ、みんなから愛されていました』



舞台の上で、スカートを揺らしくるりと回る。

ニコッと微笑んで、わたしは精一杯白雪姫を演じた。



順調に進んで、舞台も終盤。


よ、よし…っ、ここまでは、大丈夫…!


台詞も間違えなかったし、なんとか演じられたはずだ。

問題は……ここから。



「王子様!どうか白雪姫を助けてください!」

「白雪姫の目を覚まして!」



小人たちの台詞が聞こえて、わたしは閉じる瞼に力を込める。