がっ君は、わたしを抱き抱えながら、無言で何処かへ向かっている。

何も言わず、ただ怒りだけを露わにしながら、早足で人通りの少ない廊下を歩いていた。



「が、がっ君っ…降ろしてっ…!」



先ほどから何度も言っている言葉を繰り返しても、がっ君は何も言わない。

とにかく怒っていることだけが今わかる事実で、わたしは抵抗も虚しく為す術は無かった。


連れてこられたのは、見たことのない教室。

…これは、教室なのかな?

鍵を開けて中に入れられると、まるで人の部屋みたいな場所だった。

がっ君は、すぐさま内から鍵をかけ、私をベッドに放り投げた。

シーツがふかふかだったので、痛くは無かったけれど、その行為自体が怖かった。


がっ君…?



「…っ、え?な、なにっ…!」



冷たい表情をしたがっ君が、わたしの上に跨ってきて、両腕を拘束される。

あたまの上でひとまとめにされ、がっ君は自分のネクタイを外し、わたしの手首をネクタイで縛った。

な、なに…?



「ーーなぁ、なにやってんの?」