「なんて美しい姫だ…」



眠る白雪姫の前に、跪く王子様。

誰もが息を飲んで、その光景を見つめる。



「どうか、目覚めてはくれないだろうか…」



王子様の顔が、白雪姫に近づく……


…寸前のところで止まり、女子生徒の悲鳴が上がった。



「「「きゃぁーー!」」」


「王子かっこよすぎ〜っ!」

「これ絶対1位とれるよ!」

「綾小路さん羨ましすぎ〜」



口々にそんなことを言っているクラスメイトは、みんな目がハートだ。


クラス舞台、白雪姫の練習中。

がっ君はすでに、台詞を完璧に覚えていて、立ち振る舞いも文句のつけようのない王子様そのものだった。


クラスの隅っこで、見守ることしかできないわたし。


がっ君、かっこいいな…。

二人とも、とっても、お似合いだっ…。


わたしは胸が、ぎゅぅっと苦しくなった。