息が切れていた。

高台から町を見下ろすと、宝石を散りばめたような光が見える。

反対側には海も見える。真っ暗で少し蒼い海に映る月は、まるで水に溶かした黄色い絵の具のように揺れる。

「お疲れ! どうだった? 初めてのバイクは?」

将冴さんが飲み物を差し出す。

本当にこの人はチャラいようで気遣いの天才だ。

「最高でしたよ! 将冴さんのバイク!」

顔を熱くし、多分、真っ赤な顔で答えた。

将冴さんは「だろ?」と嬉しそうに笑う。

思い出すと、それは晴れた海のように、爽やかなメロディで私の頭に響いた。

将冴さんのバイクに乗り、私は生まれて初めて暴走行為に参加した。