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 叔父が帰った後、お皿に乗せた小さな手作りケーキとティーセットを持って、アイリスはディーンの部屋の扉をノックした。どうぞ、と弱い声がして扉を開けると、ベッドの上で半身を起こしたディーンがこちらを見つめていた。

「ディーン、加減はどう?」
「まあまあかな」

 ディーンは力なく笑う。その青白い顔を見て、アイリスは眉根を寄せた。

「お誕生日おめでとう、ディーン。今日で十七歳だわ」
「ありがとう。姉さんもおめでとう」
「今日はね、ケーキを焼いたの。ディーンの好きなチーズケーキよ。お祝いに一緒に食べましょう?」

 アイリスはトレーに乗せたケーキの皿をディーンに差し出す。ディーンは微笑んで「ありがとう」言った。