風と混ざって聞こえてくる夏の音。
日差しを照りつけたアスファルトが熱い熱気を漂わせている。
どこを見ても陽炎が揺れていて、蝉の声は止むことを知らない。
毎日が晴天で、教室の窓から見える空に浮かぶ入道雲を見ていた。
昔っから、日焼けするし暑いからあまり来て欲しくない夏の世界。
「ねぇ?星奈(せいな)」
「えっ…」
そうだった、現実逃避をしている場合ではなかった。
「聞いてなかったの?あのぼっちの話〜」
そう言ってクスッと笑う、自称美人な友達(仮)。
その周りには、ご機嫌取りが2人ほど。
「あ、あはは…っ、ごめ〜ん」
笑顔を張り付け、反省していないような軽い感じで謝る。
「もう、ちゃんと聞いててよ?」
「…うん」
なんて言いながら、左から右へと聞き流す。
聞いていられるわけがない、誰かの悪口なんて。
聞いていられるわけがない、親友の悪口なんて。