さぁ、ここから秘密の捜査開始──────。
と行きたいところだが、どうやら今はそれどころではないらしい。
「無理……もう私学校行けない…」
「俺も……もう限界だわ…」
「ごめん星奈…私のせいで……」
どんよりとした雰囲気が漂う秘密基地とやら。
そんな様子を、僕は眉を顰めながら見ていた。
「これなんなの。何この空気。重すぎる……」
思わず口にしてしまうほど、漂う雰囲気は深刻なものだった。
隣には、この雰囲気に似つかわしくない薄笑いを浮かべる人懐っこい奴。
目の前では絶望的な顔をした3人、隣ではその様子を楽しそうに見守る1人がいた。
因みに幽霊は居ない。
まったく、なんなんだこの人たち。
こんな変な人達に巻き込まれてしまったのか?
はぁ、と無意識に零れたため息は呆れを通り越している。
「ね、燈真くんだっけ?」
その瞬間、ポン─────と肩に軽い衝撃を受けた。
それに驚き、目を見開きながら隣にいる人物を少しばかり見やった。
「な、なに。びっくりした……」
僕がそう言うと、「アハハ、ごめんごめん」と笑みを零しながら謝る。