体操着でグラウンドに出た梓は太陽の光に目がくらんだ。


今日は強い日差しを感じるだけで気分が悪くなる。


まるで自分が吸血鬼にでもなったような気分だ。


ノロノロとウォーミングアップに参加して、スポーツテストの注意点を先生から聞く。


その間も眠気が襲ってきて、ほとんどなにも聞かないまま終わってしまった。


スポーツテストはいくつかの競技を短期間で行い、終わった者から教室へ戻っていいことになっている。


つまり、早く終わらせて教室へ戻れば、そこで眠ることもできるということだ。


それで梓は無駄に張り切ってしまった。


寝不足で重たい体に鞭打ち、誰よりも早く競技をこなしていく。


「梓、体フラフラしてるよ?」


途中で玲子が心配そうに声をかけてきたけれど、構わなかった。


だって、これが終われば眠れるんだもん。


その信念で次の競技へ向かおうとした時だった。


不意に、地面がグラついた。


(え、地震!?)


身構え、倒れないように身をかがめる。


しかし、身をかがめると同時に梓の体は横倒しに倒れていた。


重力に逆らうことができない。