目を覚ますと長い足を投げ出すようにして椅子に座る先輩の心配そうな視線を感じた。
「すみません・・・」
いつの間にか呼吸が楽になってる。

「肺炎だって。無理して、お前は。」
最近先輩に”お前”と呼ばれることも増えた。なんだか距離が前よりも近くなったことを感じて嫌じゃない。
「ごめんなさい。」
「いや、ここまで気づかなかった俺の責任でもある。」
なんで先輩がそんなにつらそうな顔をしているのかと、私が眉をあげると先輩はそっと私の額に大きな手をあててきた。
ひんやりと冷たいその手が心地よい。
「おばあちゃん・・・」
私の言葉に先輩は優しく微笑みながらゆっくりと話す。
「大丈夫。ちゃんと支度してデイサービスに行った。ケアマネさんに相談して、赤名の状況によってはショートステイ利用できるって言ってくれとる。でもさすがに俺には勝手に決められないから、赤名が起きたら連絡するって伝えてある。おばあちゃんも落ち着いてたで。」
安心したら再び眠気が襲って来た。