「はい、じゃあ席替えしまーす」




それは突然やってきた。




「先生いつもそういうの突然だよねぇ」

「一番前だけはぜったいやだな」

「授業中スマホいじれないじゃあん」

「くじの交換ありにしてくれませんかー」





週に一度のロングホームルームの時間。


くじ引きに使うクッキーの空箱を抱えて意気揚々と入ってきた担任の支倉(はせくら)先生に、教室内は席替えのとき特有のざわつきに包まれた。



支倉先生は現在27歳で、同じ1学年の担当の先生の中では比較的若い女性の先生である。生徒思いで明るいので、生徒たちからもかなり慕われているのだ。



恋愛相談にのることもあるらしく、わたしもいつか彼氏ができたら何か相談してみたいなあと、ひそかにそんなことを思っていたりする。