「ねーえ、りり」

「ん」

「アイス買って帰ろっ」

「やだよ寒いし」

「ケチ!」

「ケチとかじゃないから」




雪がちらほらと降り始め、本格的に冬がやって来た。そんなある日の帰り道。





こんなに寒い季節にアイスを買って帰ろうと言いだしたバカな楓莉の誘いをコンマで断ると、彼女はぶうっと口を尖らせた。

なんだその顔、……かわいいんだけど。




繋いだ手から楓莉の手のひらの温度が伝わる。俺の体温より少し冷たくて、指先はさらに冷えていた。


少し前に、「寒いんだから手袋したら?」と言ったことがあるけれど、それに対して楓莉がなんて返したかというと───…




「手袋したら、りりと直接手つなげなくて寂しいじゃん」




……って。

いつも触れるとすぐ赤くなるくせに、そういう発言はあまりにも素直に伝えてくれるから、俺は平常心を保とうと必死だ。