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『楓莉』



きみがベッドの上で両手を広げて待っている。

わたしの名前を呼び、「こっちおいで」と言ってやわらかく微笑んだ。



『りり、いっぱいぎゅってして』

『うん、いいよ』

『ねえりり、もっと。足りないの、りりが足りない』

『ホントわがまま』

『いいでしょ?』

『いいよ、俺も楓莉が足りない』




腕の中に飛び込むと、李々斗はぎゅうっと強く抱きしめてくれた。

わたしと同じシャンプーの匂いがする。

まるで犬みたいに 彼の首元に鼻を寄せてすんすんと匂いを嗅ぐと、李々斗は「ばか、くすぐったい」と言ってわらった。