朝から大ちゃんに翻弄され続け
朝ごはんを食べた後で

片付けも忘れて寝てしまった


そして・・・


「・・・ちゃん、蓮ちゃん」


身体が揺られて目を覚ました


「おはようございま、す?」


「フフ、まだ午前中だけど
リハビリの時間だから起きて」


「あ、はい」


コルセットを着けて
岡部さんと病室を出た


ゆっくりリハビリ室へと向かいながら
岡部さんが「あら」とこちらを覗き込んだ


「蓮ちゃん、ここ」


胸元を指差すから「え?」と俯いてみたけれど

視線の先には何も変わったこともなくて首を傾げた


「ほら」と手鏡を渡されて
指差された箇所を見ると

赤いものが見えた


「それ、キスマークね」


「へ?・・・え?」


岡部さんの衝撃のひと言に
胸元を掻き合わせる


「てことは彼と
気持ちを伝え合えたのね」


良かったと呟く岡部さんの声にハッと気づいた


「・・・伝えてない」


「え?」


「私、大ちゃんに好きだと
言い忘れてますっ」


「アララ」


大ちゃんから好きだ、愛してると言われて舞い上がって

肝心の自分の気持ちを伝えていない


「伝え合ってない割に
やる事はやってるじゃない」


そう言われてハッとする


「やってないですよ!岡部さんっ」


出した声が大きくで更にハッとする


「ハイハイ、まずはリハビリね」


クスクスと笑う岡部さんに手を引かれて
真っ赤になった頬を隠しながら
レーザーを照射して湿布を貼って貰うというリハビリは終わった