09 罪と真実。




「その噂なら聞いた事ある。てゆーか有名だったじゃんか。あの兄弟があんたを取り合ってるとか色々と」

数日後、この間連絡した親友の麻子と時間を合わせて飲みに来ていた。

今まで駿くんに遠慮をしていて、友達と飲みに来ることも少なくなっていた。けれど、結婚の報告もかねてと言ったら快く行っておいでと言われた。

ガヤガヤとしている居酒屋の店内で、麻子はパンツスーツに身をこなして長いパーマのかかった髪をなびかせる。

昔から変わりはない。ちょっと吊り目の涼しい目元が印象的な、キリっとした美人さんだ。その容姿通りに歯に衣着せぬ物言いをするハッキリとした性格だった。

昔から優柔不断な私にはぴったりな親友ではあった。ここ数年疎遠になってはいたが、会ったら直ぐに昔のような関係に戻れた。

親友とはとても不思議な物だ。  生ビールで乾杯をした後直ぐに麻子は切り出した。

「え?そうなの?」

「笑真には言わなかったけどさ。別に高瀬駿が悪いって訳じゃないけど。
安田が居なくなった途端に笑真に近づいたような気がして、悪いけど私はあいつに良い印象はない」

「駿くんはそんな人じゃないよ…」