08 あなたは正しい。




「はい…。あの熱が出てしまって。
はいはい。午後から病院に行ってきます。 ただの風邪だと思いますので。
迷惑をかけてすいません」

鮫島課長は電話口で優しく「お大事にね」と言ってくれた。

しかし今日は仕事が立て込んでいたのだ。新しい商品の入品日。私の仕事は、パートの誰かが残業をする事になるだろう。

最悪だ。こんな日に、熱を出してしまうなんて。

電話を切って、大きなため息が漏れた。それと同時に寝室のドアが開いた。

「仕事は大丈夫そ?」

駿くんの手には、お粥の入った器が乗ったお盆。
それにお水とポカリが一緒に並んでいた。

「うん。何とか…。ごめんね。出張で帰って来て疲れてるのにこんな事させちゃって」

駿くんはテーブルに持っていたお盆を置いて、私をベッドへ寝かしつけるように背中をさすった。

「ゆっくり寝てろよ。熱あるんだろう?だから昨日言ったじゃん。ソファーなんかで寝るからだよ」

「はは…本当にね。」