「また月曜日な〜!!」

担任の先生がそう言い、ホームルームは終わる。明日から二日ある休みに多くの生徒の顔が喜びに満ちていた。

「さて、部活に行かなきゃ……」

高校二年生の九重虎徹(ここのえこてつ)はそう呟き、かばんに教科書を入れながら頰を赤く染める。これから始まる時間に胸が高鳴っていった。

教室の出て廊下を歩いて階段を上る。そして三階の奥にある部室に虎徹は入った。部屋に入ると墨汁の独特の匂いがする。そう、ここは書道部の部室だ。

「文化祭に出す作品、そろそろ仕上げていってね〜!」

部長が文化祭に展示する竹取物語の一部分を書きながら言う。他の部員たちも「はい!」と運動部に負けないくらいの声量で言い、作品を作り始めた。

「隣、いいかな?」

静かになった部室で、虎徹はある女子生徒に声をかける。その女子生徒も文化祭に展示する枕草子の一部分を書いている最中だった。

「どうぞ」

そう言い、ふわりと笑ったその顔は日本人にはない美しい白をしている。知的な雰囲気に見えるメガネの奥には美しい紫の瞳があり、腰ほどのブラウンの髪は緩い三つ編みにされている。