王宮訪問の翌日。ダブダーン王国との終戦から数えれば一週間目のこの日、私はぽかぽかの太陽の下、ふかふかの芝生のお庭でモフモフのドラゴンたちと日向ぼっこに明け暮れていた。
「ふんふん、ふふ~ん♪」
 ちなみにお庭の片隅では、ドリアナ帝国との国境沿いの山中で摘んだ、例の希少な薬草が、ゴザの上で一緒にお日さまを浴びている。残念ながら”幻の薬草”は幻に終わってしまったけれど、そうそう手に入らないからこそ”幻の薬草”なのだと納得もする。とにもかくにも、太陽の下であと三日程乾燥させれば、立派な生薬の完成だ。
 きっと今頃、誰もが「そういえば、そんな物もあったな!」と思い出しているはずだ。そうして「……あれ? 鮮度が命の薬草は、ダブダーン王国軍との戦闘のゴタゴタで、萎れちゃったんじゃなかったの?」と首を傾げているに違いない。
 しかーし、実際に薬草は萎れてはおらず、まるっと鮮度を保っていた。なぜかと言えば――。
《わわわ!? これこれお嬢ちゃん、急に腹をまさぐらんでくれ。くすぐったくて、かなわんわい》