昔々あるところに、悪逆非道という言葉とは程遠い国民の多くが幸せな王国がありました。

国王陛下と女王陛下は仲がよかったのですが、なかなか子どもに恵まれませんでした。しかし、可愛らしい双子の男女を授かり、国民は王子と王女の誕生を心からお祝いしました。

そして時は流れ、王子様と王女様は十四歳になりました。これは、そんな双子の王子様と王女様の物語ーーー。



ブリューゲル王国の王宮の中庭。この国の第一王子であるリオンは剣の自主練習をしているところだった。

「もっと強くならなくちゃ……!」

いずれこの国のトップとして国民を幸せに導いていかなければならない。そのために強くなりたいとリオンは剣の鍛錬を欠かさないのだ。

「これが終わったらこの国の経済を父上に教えてもらおう。父上が忙しそうだったら大臣のヨハネに頼もうかな……」

剣を振りながらリオンは呟く。リオンは勉強が好きで自分から進んで行うため、国を任せても大丈夫だろうと囁かれている。ーーー彼女の邪魔さえなければ。