「サヤ、何をしている。置いて行くぞ」


(うんっ!)



いつの日かに渡された着物の余っていた丈は、気付けば丁度良くなっていた。

共に行動をするようになって数年が流れた。


7つだった少女は3年経って10歳へと変わった。



(くれは!お祭り!)



クイッと袖を引けば当たり前のように振り返ってくれる。

指を差した先、縁日で盛り上がる村人の集いがあった。


あれから紅覇は何かから目を避けるように場所を転々と移動させた。

旅人のような行動をして、今日辿り着いた村は西の都。



(ちょっとだけ寄って行きたいなぁ。…駄目かなぁ)



そんな眼差しで見つめてみる。


…相変わらずの無表情だ。

もう3年も共にしてるのだから微笑むくらいしてくれてもいいのに。

そんな顔は1度しか見たことがなかった。



「…好きにすればいい」



ぱぁっと笑顔を見せるサヤ。

青年の腕を引いて、明かりの中へと溶け込んだ。