園遊会から三日が経つ。

もうすぐ十五時になろうかという時間にモリンズ伯爵邸の調理場では、エプロン姿のレミリアがせっせとパイ生地をこねている。

「なんで私が料理をしないといけないのよ……」

ぶつぶつと文句を言いつつも、額に汗を浮かべて一生懸命なレミリア。

その傍らには、シンシアが愛らしい笑みを浮かべ、採点表と羽根ペンを手に立っていた。

「レミリアちゃん、その調子よ。こねる工程は花丸をつけてあげるわ。生地を伸ばしたら次はクリームを塗って、果物やナッツを並べてね。美的センスも問われる工程よ」

「どうして採点するの? よくわからないクイズといい、最近のシンシアは変よ。でも私もおかしい。やりたくないのに、どうして手が動いてしまうのかしら。ええと次は、アプリコットとさくらんぼをバランスよく並べて、アーモンドとピスタチオも入れてみよう……」

調理場の壁は青と白の模様付き磁器タイルで可愛らしい。

石天板の調理台と手漕ぎポンプの水場、三口コンロのかまどと、大型小型の鉄製オーブンがあり、薪が隅に積まれている。

エマは調理場のドアからそっと双子令嬢の様子を覗き、頷いていた。