翌日の授業終わり、わたしは美月に引っ張られるまま、学校から電車で少しのところにある繁華街までやってきていた。

カフェに入って食事を済ませると、待ってましたと言わんばかりに、美月がテーブルに手をついた。


「……で? 愛花の好きな人って、昨日のお兄さんなんでしょ?」


真剣な顔で覗き込まれ、危うくアイスティーを吹き出してしまうところだった。

なんとかこらえて、慌てて紙ナプキンで口を押さえる。


「いきなりなに言って……っていうか、なんで知って……!?」


テンパるわたしを、美月はいやいや、と軽くなだめた。


「あんなにぽわーんとした顔で見つめてたら、『わたしの好きな人はこの人です』って言ってるようなものだよ」

「ぽ、ぽわーん……?」

「あの様子じゃあ、康晴だって、自分のフラれた理由があの人だって気がついただろうね」

「えええ……」


わたしは頭を抱えて、ずるずるテーブルに崩れる。


——だからあのとき、怒ってるように見えたんだ……。


自分の表情筋の緩さを呪いながら、わたしはうう、と唸った。